不動産市況

減税措置はないよりはあったほうがいいのですが、住宅という数千万円の買い物の決断材料になるほどのメリットがあるかどうかは、納税者が個別に判断しなくてはなりません。いまの話とは逆に、損得勘定によって、「不動産価格はまだ下がるのではないか」「購入を先送りすればいい物件がもっと安く手に入るのではないか」と住宅取得をためらっている人も少なくないはずです。たしかにバブル崩壊後、不動産価格は一部を除きひたすら下がり続けてきたのは事実であり、不動産価格が上昇する可能性はきわめて乏しいように思えます。では今後絶対に上昇しないかというと、そうとも断言できません。将来確実に値下がりするのならば、いま不動産を保有している人はわれ先に手放そうとするはずです。ではもし将来再び不動産価格が上昇に転じるとしたら、いつごろ底を打つのでしょうか……。このようなことは、いくら思案しても無駄です。不動産市況の先行きなんて、誰にもわかりません。そもそも私たちはそんなことを知る必要があるのでしょうか。読者はマイホームを購入する目的は、不動産売買で儲けることではないはずです。自分の部屋を持ちたい、部屋をこんなふうにレイアウトしたい、ともに暮らしたい人がいるなど、自分の思い描く生涯設計、いわば人生の目標を実現するために買うわけです。不動産市況などという、考えても結論の出ないことで読者自身の人生設計が左右されるなんて、きわめてナンセンスなことだと思いませんか。たとえば小学生の子供を持つ買主にとって、確実にわが子といっしょに暮らせる時問は、残すところせいぜい10年程度です。その先は、その子の進学や就職の都合でどうなるかわかりません。たとえ10年後にもっと安く家が買えても意味がないのです。同様に子育てが終わった50歳代の買主が、新居を拠点に活動的な余暇を過ごしたいと思うならば、まだ体力が十分にあるいまのうちに購入するべきでしょう。10年先にもっと安く家が買えても、やはり意味がありません。読者も損得勘定で迷ったときは、改めて自分自身の住宅取得動機を思い出してみてください。「病気になったら家は買えない」は本当の話ただし本気でマイホームを持とうと思えば、のんびり構えていられない事情があることも忘れてはいけません。もし世帯主が病気になってしまうと、実質的に住宅が買えなくなることもあるからです。

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